みなさん、『量子力学』という学問を知っていますか?
『量子』という言葉は知らなくても、“二重スリット実験”や、“シュレディンガーの猫”という言葉は聞いたことがあるかもしれません。
『量子力学』はとても難しく深い所までは説明できないのですが、
『量子力学』って面白そうだなと感じた『量子力学』の世界を少しだけご紹介します。
「状態」が重なりあって「存在」する物質。『量子』
「状態」が重なりあって「存在」?
意味わからないですよね?
大まかに例えて言います。
小石は個体ですよね? そして、水は液体です。
『量子』の世界ではこの小石は個体でもあって、液体でもあるわけです、、、。
余計に訳がわからなくなってきましたね。笑 スミマセン。
下手にかみ砕かず、『量子力学』を知る上で有名な実験を2つご紹介いたします。
二重スリット実験
有名な実験に『二重スリット実験』があります。
実験は非常にシンプルです。
二本のスリットを入れた板を用意します。
スリット板の後ろにスリットの入っていない板を置いておきます。
このスリットに向かって『量子』を一発ずつ打ち込んだ時、後ろの板にはどのような打ち込み跡が出るのかというもの。
打ち込むものが粒状である時、後ろの板にはスリットと同じ模様が現れるはずですよね。
しかし、波をスリットにぶつけると縦の縞模様が現れます。
高校生の物理で習った“波の干渉縞”ですね。
詳しい説明は省略しますが、2つの穴を通った波と波がぶつかって濃く模様が出る部分と薄く模様がでる部分ができる為です。
波の干渉縞のメカニズム 出典 : 哲学的な何か、あと科学とか
ここまで理解したうえで、実際『量子』をスリットに向かって発射してみましょう。
『量子』の二重スリット実験
実験では量子の一種である『電子』を使います。
電子の粒を一発ずつスリットに発射していきます。
粒状の電子を発射するんです。後ろの板に現れる模様は、、、。 わかりますよね。
粒状の物体を発射した時と同じスリット型の2本線が現れるはずですが、、
実際に現れるのは、、、。
何と!縦縞模様が現れたのです。
驚きの結果です!粒を一発ずつ発射しているので干渉はしないハズ、、、。
この結果に研究者達は、ある仮説を立てました。
その仮説とは、粒状の電子がスリットの直前で波状に変わって通り抜け、
お互い干渉して縦縞模様ができたのではないかというもの。
仮説を検証するのは簡単です。
電子がどちらのスリットを通ったかわかるようにセンサーを取り付けて実験して、実験終了後に片方だけ通ったのか?波の様に両方通ったのか?確認すればいいだけです。
実際にその実験は行われました。
するとどうでしょう!
今度は一変してスリット型の二本線が現れたんです。
センサーも粒状の電子が片方ずつ通った記録がありました。
科学者達はもう一度。今度はセンサーの電源を切って実験しました。
すると!
また変化して縦縞模様が現れたのです。
つまり、量子は観測することによって状態が決まると言えます。
人間が観測する前は色んな可能性が『重なり合っている状態』ということなんです。
先の実験でいえば、観測(カメラを設置)するまでは粒状でもあり波でもある。(観測しない場合は波状)
観測することによって量子は粒上に姿を変えてしまう。
この謎は未だ明らかになってはいません。
量子の不思議はこれだけではありません。
先の実験で使用した量子の一種である電子一粒を引きちぎって二つにするとします。
そして、二つを別々の場所に持っていき同じ実験を各々行ってみます。
すると、どちらか片方の電子を観察すると、
もう片方の電子も観察された電子と同じ状態に変化するんです。
引きちぎった電子を地球の裏側にもっていっても、まるでテレパシーで何らかの信号を送っているかのように、観測されていない電子も観測された電子と同じ“状態”に変化します。
常識が一切通用しない。それが量子力学の世界なんです。
シュレーディンガーの猫
量子の世界は観測するまでは『状態が重なり合っている』という事でした。
エルヴィン・シュレーディンガーが、この『状態が重なり合っている』ことがよくわかる“仮想実験”をしています。
シュレーディンガーの猫実験
まず、箱の中に猫を一匹入れます。
そして、猫と一緒に“ラジウム”を入れておきます。“ラジウム”は放射性物質で、大変不安定な物質です。
量子の一種である陽子や中性子を放出することで崩壊します。
ラジウムの陽子や中性子はいつ放出されるのかは誰にもわかりません。
箱の中に、陽子や中性子が放出されてラジウムが崩壊した時、“青酸カリ”を放出する装置も一緒に入れておきます。(青酸カリは猛毒)
そして、箱に蓋をして誰も中を見ることができない状況を作ります。
猫の生死は量子にゆだねられた状況です。
「シュレーディンガーの猫」のイメージ図 出典 : Wikipedia
さて、観測者は箱の中が見えません。
この状況では、猫は生きているのでしょうか?
それとも、死んでいるのでしょうか?
ラジウムを構成している陽子や中性子は量子です。
すなわち、『状態が重なり合って』います。
つまり、箱の中のラジウムは崩壊もしているし、していない。
猫は死んでいるし、生きているんです。
そして、観測者が観測した瞬間、猫の運命は決定します。
これが、量子の世界です。
少し怖いですね。
この実験には様々な解釈があります。(未だよくわかっていないので当然です)
僕が面白いと感じた解釈は、『この世界は一つではなく、時間軸に沿って無限の世界がある』という解釈です。
よく聞く『パラレルワールド』というやつです。
観測者は猫を観測した瞬間。もし猫が死んでいたら『猫が死んでしまった世界』を生きることになります。
しかし、別の世界では猫は生きていて、『生きている猫』と暮らす観察者本人がいます。
箱を開けた瞬間、『猫が死んでしまった世界』と『猫が生きている世界』に世界が分岐するという考え方です。
つまり、観測者が寸前で箱を開けるのを止めたとしても、別の世界では箱を開けて猫の生死を確認した観測者がいて、さらにその先には猫が死んでいた世界・生きていた世界が広がっている。という事です。
この解釈は、タイムパラドックスの矛盾の解決にもつながりそうです。
“過去に戻って自分が生まれる前に、自分の親を殺したら自分はどうなるのか?”
この解釈では、自分も、過去の自分も何も変わりません。
自分はさらに分岐した、『過去に戻って親を殺してしまった』世界で生きることになるだけです。
(未来から人がやってきた!タイムマシーンは作れるんだ!と騒がれる世界で暮すことになります)
別の世界では、そんな恐ろしいことをせずに健全に生きている自分がいる世界が存在するのです。
僕たちが住んでいる世界は“ドラクエ”のようなRPGゲームのようなもの、
とよく例えられます。
ゲームでは、マップに映ってない村には村人は存在しません。
プレーヤーが村に近づき、見る事で、村人たちが読み込まれて出現します。
プレイヤー(僕たち)が見るることで、世界がいくつもの時間軸に分裂し、それぞれ自分が見た世界の時間軸を生きているんです。
少し脱線しましたがおもしろくないですか?
今回は『量子』の世界をほんのさわりだけご説明しました。
この謎が多い『量子』ですが、現在、“Google”や“IBM”など大手企業ががこぞって『量子コンピューター』の開発を手掛けています。
色んな状態が重なり合った『量子』を使えば、様々な計算を色んなパターンで同時に行える超光速スーパーコンピューターが作れるからです。
詳しく知りたくてもハードルが高くて僕なんかは入って行けない世界ですが、わかりやすいサイト等あれば、またご紹介致します。