星までの距離はなぜわかるのか?

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おおいぬ座のシリウスは地球から8.6光年離れている。
こと座のベガは25光年離れている。
オリオン座のベテルギウスは642光年離れている。
オリオン座のリゲルは700光年離れている。

等、地球から星までの距離はわかっています。

人類は太陽系外ですら出たことがないのに、どうして星までの距離がわかるのでしょうか?

今回は、星までの距離の測定方法をご紹介します。


天の川銀河内の星までの距離の測り方
【比較的近い星(1,000光年位の場合】

 

僕たちの太陽系が属してる『天の川銀河』内の星は『三角測量の原理』で測ることができます。

 

三角測量って何?

三角測量というのは、
直角三角形の一つの辺の長さがわかっていて、直角以外の一個の角度が分かっていれば公式で残りの辺の長さがわかるという測量方法です。

中学生のころ学んだことを思い出しながら簡単に例を説明します、、、

 

例)
A君が立っている地点からB地点まで10mあるとします。
B地点には巨木が立っています。
A君の目から巨木の先端 Cを見たとき31°の角度がありました。
A君の目の高さからB地点の巨木の先端 Cまで線を引けば何メートルになるか?

という簡単には測れない長さが測れます。

解)
A君の地点からB地点の距離がわかっています。
そして、B地点から巨木の先端Cまでの角度は90°になるはず。
A君の目から巨木の先端 Cまでの角度がわかっているので、三角測量の原理が使えます。

星までの距離を測る三角測量方法1

A君の目から巨木の先端 Cまでの角度は31°なので、
cosineの対応表より、『 cosθ31°= 0.8572 』ということがわかります。
(あらゆる角度に対応したsin・cos・tanの対応表がある)

つまり、
AB/AC=0.8572
AB=10m
10/AC=0.8572
AC=11.66m
と求める事が出来ます。

星までの距離を測る三角測量方法2

 


地球から星までの距離

地球から星までの距離もこれと同じ原理で測ります。

ただ、ひとつ問題があります。

日本最北端と、最南端の二か所から同じ星を見ても同じ場所に見えてしまいます
星までの距離が遠すぎ、かつ、2点の測定場所が近すぎて、先の例のA君から見た時の目的のCまでの角度が出ないんです。

これは地球上のどんな遠い場所で見ても同じです。
実際には角度はでてるはずなのですが極小過ぎて精密機械でも測定不能です。
これでは三角測量に必要な『直角以外の一個の角度』がわかりません。

ではどうするのか?

 

地球が太陽の周りを周っている(公転)ことはみなさんご存知だと思います。

その直径はなんと!約3億km!
とても長い距離!

この長い距離なら星も少しずれて見えるはず!
地球の公転の直径を底辺と考え三角測量すればいいのです!

年周視差を使い星までの距離を測る方法1

やり方は簡単!
(理屈上は、、、実際には超精密機械で測定する必要あり)

まず、距離を測定したい星の見える角度を記録しておく。
次に、半年後に再度同じ星を観測し、角度にずれが生じていれば、
そのズレた角度こそが3億km離れて観測した角度のズレになります。
(この角度は微々たるもので、1/60°以下の本当に小さな角度)

後は、底辺が3億kmの大きな三角形を半分にすれば、
底辺が1.5億kmの直角三角形の出来上がりです。

この時、計測したズレた角度も半分になります。
この角度の事を『年周視差』という言い方をします。

年周視差を使い星までの距離を測る方法2

これで、直角三角形の一つの辺の長さ・直角以外の一個の角度がわかり、
三角測量の原理に『tan年周視差°』を当てはめれば星までの距離を計算できるという訳です。

年周視差を使い星までの距離を測る方法3

分母のtanθの数値は角度が0°に近づくほど分母がゼロに近づきます。
図の高さ(公転の半径1.5億km)をゼロに近い数値で割るので、、、。
必然的に年周視差が少ない星ほどとんでもない数値になります。

 

天の川銀河の外の銀河までの距離の測り方
【銀河内の脈動変光星を利用する場合】

 

星の中には、一定周期で膨張・縮小を繰り返しその明るさを変化させる星(脈動変光星)が存在します

それらの星は、その周期が長ければ明るく、短ければ暗いという関係性がわかっています。

遠い銀河までの距離を計りたいときは、
その銀河内の脈動変光星を探し、周期を観測します。

 

周期がわかればその星本来の明るさがわかります。

星の見かけの明るさは『距離の2乗に反比例する(逆2乗の法則)』ので、
本来の明るさと、見かけの明るさをもとに計算すれば星までの距離がわかるというわけです。

 

数十憶光年離れた遠い星までの距離の測り方
【宇宙の膨張・光の波長を利用する場合】

 

高温で高密度だった宇宙が『ビックバン』と呼ばれる大爆発で大きく膨張し、低温で低密度の現在の宇宙になったとする膨張宇宙論が最も有力です。

ビックバンによる宇宙の膨張は今でも進んでいます
これは、遠い銀河の赤方偏移(せきほうへんい)を観測することで「エドウィン・ハッブル」が明らかにしています。ハッブルの法則
※音や光の発生源が遠ざかる時、その波長は引き延ばされます。(ドップラー効果
音の場合は「低い音」になり、光の場合は「赤い色」に近づきます。
光が引き延ばされて少し赤みがかって見えることを『赤方偏移』と言います。
遠くにある銀河程、この赤方偏移の度合いが大きいことがわかっています。

つまり、赤方偏移を観測し銀河の遠ざかるスピードを割り出し、
宇宙の膨張率で計算すれば、その銀河までの距離はわかります。

この方法で求める距離はかなりアバウトなものになります。




今回ご紹介した方法以外にも、
『超新星爆発時の光度変化』で測定する方法や、
『星の色』で測定する方法もあります。

 

中でも僕が面白いと感じたのは、最初にご紹介した『三角測量』で計測する方法です。
なんか泥臭くて好きです。

三角測量の原理でご説明した『年周視差』は本当に微々たるもので、
4光年離れている星でも1度の1/600以下の角度です。
この視差は250m離れた所にある物を1mmズラしたときの視差に匹敵するほど微々たるものです。(マサイ族ならいけるか…)

 

 

紀元前160年頃、古代ギリシアの天文学者「ヒッパルコス」が世界で初めて三角測量の原理を発見し、測量を行いました。

年周視差は1838年にドイツの天文学者である、
「フリードリヒ・ヴィルヘルム・ベッセル」が発見しています。

1842年にオーストリアの物理学者「クリスチャン・ドップラー」が
観測者と震動源の相対運動によって変化する振動数の関係式を生み出しました。
(ドップラー効果)

1929年には「エドウィン・ハッブル」が、
宇宙の星の遠ざかる速さとその距離は正比例することを発見しています。
(ハッブルの法則)

 

星までの距離〇〇光年の名の通り見えている星は〇〇年前の姿です。
星々の過去の姿を見てると思うと不思議な気持ちになってきます。

山にキャンプに出かけたりすると星がとても綺麗に見る事が出来ます。
遠い昔の偉人達も恐らく今と変わらぬ星空を眺めていた事でしょう。
そんなことを考えながら星空を見てると自然とストレスが抜けていきます。
是非一度お試しください。
(長時間の天体観察は首と肩が翌日までこるので注意 笑)

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