新聞紙にマッチの火を近づけたら当然燃えます。当たり前のことですよね?
この現象は、マッチの熱によって新聞紙が『引火点』まで温度が上昇し、
マッチの火によって“引火”したものです。
今回は、『引火点』と『発火点』についてみていきましょう。
『引火点』と『発火点』
『引火点』・『発火点』という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、読んで字の如く、
『引火点』とは、
物質に火元を近づけた時に燃焼しうる温度の事です。
物質が燃焼するには〔酸素〕と〔火元〕以外に、燃焼する物質の〔温度〕が必要なんです。
つまり、燃えやすいとされる紙ですら、マッチの火を近づけても冷やしていれば(水を入れる等)燃えることはありません。
『発火点』とは、
〔火元〕が無くても自然に発火してしまう温度の事です。
あまりなじみがなく驚くかもしれませんが、本当に起こりうることです。
『発火点』は物質によって様々ですが、発火点に達した物質は周囲に燃焼可能な気体(酸素など)があれば〔火元〕が無くても自然に発火します。
意外と身近な自然発火現象
工場で働いている方は職種によっては過去の職場災害等で聞いたことがあるかもしれません。
木材チップ・樹脂・油類などの自然に化学反応を起こす材料を扱う場合、それらの材料の化学反応によって微量ながらも熱が発生します。
それらを一塊に保管している場合、
化学反応を起こした材料から発せられた熱が蓄積し高温になり、近くの発火点が低い物質が自然発火した事例が多くあり、消防法でも厳しく取り扱いを規定されています。
自然発火現象が起こるのは何も工場に限ったことではありません。
一般家庭で最も身近なものは、やはり揚げ物でしょう。
揚げ物の調理中に油から急に火が出た!というのは一昔前ならよく耳にしたものです。(現代はコンロの温度センサー等でかなり安全になっている)
揚げ物用の油の発火点はおよそ350℃です。
油の沸点は500℃以上なので、揚げ物中に目を離してしまうと油はずっと鍋の中で温度を上げ続けます。
やがて発火点の350℃に達し、火元が近くになくとも発火してしまうんです。
揚げ物が終わって油の処理をする時も注意が必要です。
少量だからといって新聞紙に吸わせて簡単に処理すると、油の酸化による発熱によって新聞紙の自然発火につながる恐れもあります。
油の処理には十分に注意しましょう。
こちらのサイトに正しい油の処理方法が記載されています。
→日清オイリオ’sキッチン
身近な物質の引火点と発火点
最後に身近な物質の『引火点』『発火点』をご紹介します。
引火点 | 発火点 | |
---|---|---|
ガソリン | -40℃ | 300℃ |
灯油 | 50℃ | 250℃ |
ポリエチレン(PE) ビニール袋など |
340℃ | 330℃~410℃ |
植物油 | 327℃ | 350℃ |
木材 | 250℃ | 350℃ |
紙 | 250℃ |
物質が燃える仕組みを理解し、しっかりと火の用心して火事にならないようにしましょう!!