夏の暑い日に、氷たっぷりの麦茶は冷たくて最高ですよね♪(私はお腹が弱いので入れすぎ注意ですが…笑)
麦茶の場合もそうですが、氷は水に入れると浮きます。
日常、当たり前のようにみているこの光景ですが、実はこの“個体が同じ液体に浮く”というのは非常に不自然な事なんです!
一体何が不自然なのでしょうか?
今回は、“氷”が“水”に浮かぶ理由をわかりやすく図を交えて解説します。
物質は固まると重くなる!
物質は液体から個体になると、その密度が高くなり“重くなります”
“物”は液体の時と個体の時で“物”を構成している分子のくっつき方が違います。
液体の時の分子のくっつき方
液体はしっかりと容器に入れておかないと流れ出てしまいますよね?
これは、“物”が液体の時は分子が自由に動き回れるくっつき方をしているからなんです。

液体の場合の分子の様子
言い換えれば、分子同士の間隔が広い状態が“液体”であるということです。
個体の時の分子のくっつき方
一方、個体は固くしっかりしています。
液体を個体にすると(一般的には冷やす)自由に動けた分子同士が規則正しく整列します。

個体の場合の分子の様子
分子が整列することで分子間の隙間が小さくなり、分子が自由に動けるスペースが無くなります。
(体育の授業中も整列すると自由に動けるスペースがなくなりますよね?)
“分子が自由に動けない”ということはその分子がつくる“物”も自由には動かない“固い物”になるという訳です。
“個体”とは、分子同士の感覚が隙間なく詰まった状態といえますね。
物質は液体から個体に変わると、密度が高くなり重さも重くなります
しかし、これは“水以外の物質”の場合です。
“水”だけはこの常識が通用しません!
常識が通用しない“水”という物質
この世の物質は個体になれば密度が高くなり重くなると言いました。
つまり、液体を個体にすれば元の液体に沈むのです。
しかし、“水”の場合はどうでしょう?
“水”を凍らせて“氷”にしたものを“水”の中に入れれば“氷”は浮かびます。
“浮かぶ”ということは、個体になった水分子が液体だった時の密度よりも低くなったということです。
※液体の時よりも低密度になった氷は容積が増して膨らみます。
【実験】
ペットボトルに水を入れて栓をし、冷凍庫で凍らせてみてください。
水が膨張してペットボトルがパンパンに膨らむはずです。
水以外の物質は個体になることで密度が増すのに、水だけは逆に密度が下がる!
不思議ですよね?
氷が水に浮く理由
水以外の物質が個体になる時には分子が綺麗に整列すると言いました。
水以外の物質。例えば、“鉄”なんかは本当に綺麗に整列(立方体の形で綺麗に並んでいます)するので、分子間の隙間がほとんどなくなります
鉄がとても固いのは隙間なく並んだ分子のおかげだと思って頂ければ結構です。

鉄などの固い物質の分子の結合
水が氷になる時にも同じように分子が整列する訳ですが、水の場合は整列のしかたがあまり綺麗ではありません。

水が凝固した氷の分子の結合
上の水の場合と水以外の場合の図を見て頂ければわかるでしょうか?
(図が少し下手です…、こんなに規則正しく並びません)
水の場合は法則性はあるものの“正四面体”型で結合しています。

正四面体の様子 出典:Wikipedia
正四面体で結合すると、上の図のように隙間ができてしまいます。
この隙間が密度を低下させ、容積が増す原因となるわけです。
生命が生まれたのは“水”のおかげ!
大変不思議で興味深い“水”という物質。
実は、この凝固して氷となっても沈まない“水”の特殊な性質のおかげで人類を含めた全ての生命が誕生したと言っても過言ではありません!
なぜなら、氷となった個体の水が他の物質と同じように高密度で沈んでしまうとしたらどうでしょうか?
氷河期のような地球全体が冷えていた時代、海や湖が表面から次第に凍りつき、沈む。
そして、さらに凍りつき、沈む…
繰り返していけば、海や湖すべて凍りついてしまいます。
“水”を奪われれば生命は生きていけません!
更に!地球が真冬でも暖かいのも温まりにくく冷めにくい“水”のおかげなのです!
生命が生存するために非常に大切な物質でもある“水”だけが他の物質と異なった性質を持っている…。
私は信仰心はありませんが、“神が生命を作り、人類は生まれてくるべくして生まれた!”と言われても全否定は出来ない気すらしてきます。